再掲載の邦訳錬金術文書について

以下の文書は作業終了。
『ヘルメス文書』Corps Hermetics「ポイマンドレース」朝日出版社の『ヘルメス文書』って復刊しないのかな?読みやすくて註が頁ごとにしっかりついてる好い本なんだけどもなあ。その分ご苦労も多かったのか、訳者の方があとがきで共訳の片方をものすごい語気で非難されてる記述があって、それを目にした当時、生田耕作の戦闘的な批評を読んでるように、冷や水を浴びせられる気持ちにさせられた。復刊したらアレもそのまま載るんだろうか。古書は出回ってるようだが・・・すげえ高値だ(ここの21440番とか) 錬金術的に関連の深そうなヘルメス文書は、ポイマンドレース以外も「グノーシス用語」を使わないで訳してみたいところ。

■ヘルメス・トリスメギストゥス『エメラルド板』Emerald Tablet of Hermes解説で起源の問題に触れながら中世ヨーロッパとアラビアの関係に触れているけれども、なんか色々の文書を読んでみると、ホントもう『エメラルド板』の起源がどこにあるかなんて歴史性はどうでもよくなって来る。つい最近、ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』がまた見たくなって映画を見直しては感動していたが、古代地中海文明の遺産がアラビア経由でヨーロッパに入って来るっていう流れは、どのていど一般的に認知されてることなんだろう。作中あれだけ大騒ぎしていたアリストテレス詩学』とか『黙示録注解』を思わず手にとって感慨に耽ってしまう。

■バシリウス・ヴァレンティヌス『12の鍵』Twelve Keys of Basil Valentine2〜3年前に訳したもので今ちょっと読んでみても怪しいところが結構あるように思う。マイヤーが『黄金の三脚台』に編纂したってこともあるんだから、『逃げる〜』をひととおりやった今もう一回見直すと多分、結構間違いが見つかるんじゃないかなあという危惧。

現在、50講話のうち20まで閲覧可能。↓

■ミハエル・マイヤー『逃げるアタランテー』AtalantaFugiens10項目ずつ5頁で編集してます。とりあえず十まで二十までの2頁。エロ味全開の04とか05は結構キャッチーなところかも。錬金術の技術的な側面で重要なのは03、07、08、10、12、13、14、15、17あたり。こういうのは、なにがしかの解説本を読めば必ず言及されてるんじゃなかろうか。16のライオン研究は、なんだかちっとも錬金術的じゃないけど、当時の自然科学のありようが垣間見えて面白い。さらに『逃げる〜』で面白い&マイヤーの筆跡が暴走するのは、ギリシアローマ神話の神格がおりなすドラマを錬金術の作業過程になぞらえるところで、そういうのは前半にはすくないけど、06、11あたりに感じられるかどうか。後半にはわんさか出て来る。

・・・肩こってしゃあない、ノートPCでウェブサイトの書類つくるもんじゃないですねー。