2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

グレッグ・イーガン『万物理論』

正月ってのは、自分の意志に関係なくいろんなところに付き合わされたりすることが多く、『万物理論』を手に取ったのも、出先で空いてしまったマを埋める、なんでもいいから活字が欲しかっただけのことだった。あんまりSFの良い読者というわけでもないが、せ…

第6回 錬金術の叙階定式書 第1章(4)

以下、これにて第1章はおしまいです。 斯様なものが、いつ、如何にして地表にて増加しえるのであろうか。誰でも平均的な知性のある者であれば、水が凍ることやそれが場所によって多寡のあることくらい知っている。凝固前の水は、小川や溝渠では少ないが、し…

第5回 錬金術の叙階定式書 第1章(3)

さて汝、この叡智を求める者よ、虚偽から真実を見抜くすべを学ぶべし、錬金術の真の探求者は原因をさぐる哲学によく精通している必要がある。さもなくば、あらゆる労苦は無に帰することであろう。とはいえ真の探求者たるものは、みずからの責任に於いて探求…

第4回 錬金術の叙階定式書 第1章(2)

つづき……。いち画面で収まるくらいの長さかな、というところでUPしております。 この術が、その目指すところのために聖性を否定されるのも尤もなことではあるが、それでも尚この術は核心に秘めた理法のゆえに神聖視されて然るべきである。何人たりとも神の慈…

第3回 錬金術の叙階定式書 第1章(1)

『英国の化学の劇場』に収められた版に置かれている図像。 錬金術のイニシエーション。選ばれた者が天授の秘密を守ると誓っている。 門の向こうに別の世界があるという意匠は『太陽の光彩』の第1図ともよくにている。 アシュモール『英国の化学の劇場』版で…

『トマス・ノートンの錬金術の叙階梯式書』書評

イギリスの書店Boydell&Brewerが刊行しているEarly English Text Societyという叢書の第272巻に収められている。PMCにあった書評(リンク先でDL可能)によると…… JOHN REIDY (editor), Thomas Norton's Ordinal of alchemy, London, Oxford University Press…

トマス・ノートン氏をめぐるいろいろ

ここ数年でめきめき実用的になって(?)なんでも検索してみるととりあえずヒットするWikipediaだが、英語版では「Thomas Norton」の記事がちゃんとある。(Wikipedia:Tomas Norton)ちなみに日本語版には無い。……とかいってる奴が書けばいいじゃんか、とい…

第2回 錬金術の叙階定式書 第2序文

前回の「第1序文」についで、以下の長い「第2序文」が始まる。ところどころに、どこかで聞いたことがある警句が発せられている。というか、マイヤーが『逃げるアタランテ』でかなり積極的に援用しているテーマが、この第2序文にはてんこもりだ。 第二序文…

さてまたずいぶん間をあけてしまいましたが

さまざまなお問い合わせ&激励ありがとうございました。なんやかやと言い訳をいたすよりもシレッと続きを再開することに致します。これからは出来るだけ継続的に訳文をUPしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。m(_._)m