2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

第1回 単行本ベースの資料

■象魚 1994 10/5 初版 青林堂 《目次・初出》骨 1993ガロ7月 人参 1993ガロ4月 マナティ 1993ガロ2・3月 金魚 1990ガロ10月 耳 1990ガロ11月 影 1990ガロ11月 隕石 1990ガロ11月 鯉(夏の日の鯉) 1990ガロ1月 動物園 1990ガロ6月 四コマ漫画 描き下ろ…

ドナム・ディ 第13図

以上、ドナム・ディこと『いとも貴き神よりの賜物』からの全訳完了。 「プレティオシシマム・ドナム・デイ」は初期錬金術文学の重要な作品で、古い版は様々だが基本的には12葉の挿絵が付属している。今回の翻訳にはミュリウス『黄金の解剖術AnatomiaAuri(16…

ドナム・ディ 第12章

第一二章 白さはルビーのごとき鮮やかなる赤に変えられ、これが赤化のエリクサである。 白きラトナを用いよ。汝が念挫かれることのなきよう、書物をば引き裂くべし。われらの術はたやすきものであり、かつ裨益なるものまことに少なきなり。余を白くする者は…

"カ焼"について

上の『ドナム・デイ』11章でも2箇所「カ焼」という言葉がでてきているが、本来は左のような文字になる。MacOS上でも新しいユニコードの文字が編集できるアプリケーション(普段たいがいの原稿はLightWayTextを使っている)なら問題なく表示されるが、こころ…

ドナム・ディ 第11章

さて少々夏休みしていたら遅れが出ましたが、次回12章で完結でございます。 第一一章 灰はかがやく大理石のごとき白へとかわり、それが白化のエリクサ、灰よりつくられる。 物質の資性は熱が与えられなければ変化することがない。よって汝、能く熱を御し水と…

アレクサンドル・ソクーロフ『太陽』ロシア・スイス・伊・仏(115分)

埼玉県川口市のSKIPシティというところはモノスゴイ映像施設で、NHKのアーカイブス用のビルとか早稲田大学の分校が入っていたりする。ここでは毎週末にウィークエンド・シアターと銘打って旧作・話題作の上映をやっているが、ここが持っている上映室もかなり…

ギヨーム・ド・ロリス&ジャン・ド・マン『薔薇物語』

ちくまで『ヘルメス叢書』でも再刊されるんじゃないかなんて言っていたら、中世ヨーロッパの寓意大全たる『薔薇物語』が文庫化された。当時の自然哲学にもとづいた記述も満載だから、錬金術文学としてもかなり高名な書物である。こんなものが8/8に文庫で発売…

ドナム・ディ 第10章

つづき・・・。 第十章 容器中の水の上、黒雲が如何にしてその由来する物質へと溶解するか。 黒を見出すべし。黒よりもくろく、多種多様の色彩がその中より現れるであろう。処女の乳は白くなり、そしていま蘇るわれらの《嫡子》は火の征服者となり、染色素に…

ドナム・ディ 第9章

つづき・・・ 第九章 暗黒より十全に浄化され、乳汁の色のこす水なり。闇のなかにはとりどりの色彩が現れる。 己の羽翼を喰らっては、時期に応じて様々な仕儀に次々と異なる色彩を見せる龍は色から色を変転し遂に白色に至る。いとも荒々しく獰猛なる獣は、渇…

ドナム・ディ 第8章

第八章 暗黒の中に生まれた龍が《水銀》で養われ自らを殺しまた溺れ、水が白味を帯びゆくさまについて。 金は溶解してその原初の物質へと還元されるが、それはまことに硫黄と《活ける水銀》に相違ない。だから物質をそうしたものに変換せしめれば、われわれ…

ドナム・ディ 第7章

第七章 如何にこの土塊が水、ふたたび色油と溶解されるか。それは哲学者らの油と呼ばれる。 ここでは、石が黒化するにどのくらいの時間を要するか、また黒化が現れたときの誠の石の溶剤たりえるものは何なのか、ということが眼目であるが、それが腐敗のあり…

ドナム・ディ第6章

つづき・・・。 諦めちゃいけないのは判るが・・・道は遠そうだ。 第六章 如何にしてこの黒き土塊の、まず水の上に現れそして漸次、深みへと滲むか。物質が濃厚な蝋状へと固まり、泥状に沈殿してゆく様が観察されるにつけ、水のうえにあった濃度は少しずつそ…

ドナム・ディ第5章

つづき・・・ 第五章 此水のほとんどは、黒くけがれたる土塊より成る。 それゆえ鶏が卵を育むような緩やかな火にてわれらの黄銅を暖めよ、やがてこの組成物質より染色素(ティンクトゥラ)が抽出されるが、そのすべてを一時に抽き出そうとしてはならない。日々…

納涼、妖怪&幽霊リンク

『山海経』の妖怪画をコラージュの材にする逆柱いみりのような漫画家が、どうして錬金術寓意から題材を得ないんだろうという疑念がフとよぎるが、そんな繋がりは見えずとも『象魚』『MaMa-FuFu』『ケキャール社顛末記』から、さいきんでは『赤タイツ男』やら…

ドナム・ディ 第4章

下(2・3章)に見たような男女のマグワイばかりではなく、あらゆる出会というものは、すぐに現れる歓喜や人事的効果を一定期間に終えると、かならずや腐敗し始めるものなのか・・・価値あるものであればこその、腐敗なのか。重要なのは、そこから流動的な…

ドナム・デイ 第3章

第三章 いかにして肉体が水へと溶解しそれが新しき肉体となるか。 われらの石は罪を負って静謐に胎動する物質であるがゆえ、異物を受け容れない。これはただ従順かつ妖艶なる妹とのみ結合し、其等の間に術は始まる。識るべし、しろき女があかき男と結ばるれ…

ドナム・デイ 第2章

・・・つづき。 第二章 いかにして物体が哲学の活ける銀へそして水へと溶解されるか石の素材になるのは鈍重な水剤であり、あるいはそれは水を凍らせるほど冷たい。そうした石というものは他のいかなる場合よりも動物的(肉体ある)なところに生じるものが貴…

神よりの賜物(ドナム・デイ)The 'Donum Dei'

プレティオシシマム・ドナム・デイ、すなわち『いとも貴き神よりの賜物』の翻訳進行中。15世紀あたりからヨーロッパ各地で翻訳されて、じつに60種ちかくの版があるらしい。ざっと読んだところでは、よくある錬金術の格言のおさらいではあるものの、後半で「…