2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

第13回 錬金術の叙階定式書 第3章(2)

第3章はこれにて終了、短いのです。 「では教えてください、まことの原料は太陽(金)と水銀、あるいは太陽と月(銀)なのでしょうか。あるいはこれら三つなのでしょうか。あるいはそれは金そのもの、水銀そのものなのでしょうか。さもなくばそれら二つと硫…

第12回 錬金術の叙階定式書 第3章(1)

さて第3章のスタートです。「T」は老錬金術師タンシルスのTです。 タンシルスは容易ならざる探求に六〇年もの刻を費やした。西部のブライアンやホールトンなどもまた、昼夜を問わず術の実践に従事した者たちであるが、彼らはこの高貴なる学理の精髄を見出…

悪魔について

先日の記事「第10回 錬金術の叙階定式書 第2章(4)」でうっかり「術者のメンタリティの問題を悪魔に帰する心理学は……」などという書き方をしてしまったが、ちょっと性急だったかもしれない。そもそも悪魔ってのは何だろうかと。ふつうに辞書で【悪魔】と…

 第11回 錬金術の叙階定式書 第2章(5)

第2章は今回で最終回です。 汝が身を守らねばならぬ第三の敵は欺瞞である。これは前述したふたつよりも恐らくはずっと危険なものである。汝が炉を燃焼させるために雇わねばならぬ傭僕は、最も信用ならない人物である場合がある。不注意な者もいれば、炎に傾…

 第10回 錬金術の叙階定式書 第2章(4)

もし汝の心が美徳に忠実であれば、悪魔は全力を尽くして汝の探求を阻止するであろう。性急さ、絶望、欺瞞という、相次いで仕掛けられる三つの躓きの石がこれであり、悪魔が恐れるのは、汝がこの秘奥に通じて良き作業に成功することなのである。第一に、あま…

 第9回 錬金術の叙階定式書 第2章(3)

博学の者、そして学舎に通う学徒らは、こうした愚かな人物の悲劇の結末を耳にして、注意を喚起すべきである。かようなことに常なる配慮を欠けば、自身にもまた同様のことが降りかかると肝に銘じるのである。学徒の多くは、それが誤りであっても、書物に大胆…

 第8回 錬金術の叙階定式書 第2章(2)

更に別の例を挙げて、我が意図するところを明らかにしよう。あたかもレイモンド・ルルや修道士ベーコンのごとく、己がこの術に深く熟達していると思い込んだ男がおり、自らを比類なき者と称するほど高慢であった彼は、ロンドンからほど遠くない小さな街の司…

 第7回 錬金術の叙階定式書 第2章(1)

さて第2章の始まりです。第2章では、いろんな物語をノートン師が語ってくれます……が、ちょっと辛い話が多い。 「N」はノルマンディのNです。 かつてノルマンディに、様々な身分を股にかけ人々を騙した修道士がいた。この術について完全な知識を握ってい…