ドナム・ディ 第11章

さて少々夏休みしていたら遅れが出ましたが、次回12章で完結でございます。

第一一章 灰はかがやく大理石のごとき白へとかわり、それが白化のエリクサ、灰よりつくられる。
物質の資性は熱が与えられなければ変化することがない。よって汝、能く熱を御し水と火を汝の意に適うようにせよ、かくして物質は濯がれ、浄化され養われ、暗闇が拭い去られる。鉄石のごとく堅固なる地にも気中に存する水は浸透する。故にこの作業のすべてを四度くりかえすべし、さすれば遂に気化カ焼の方法にしたがって物質は焼成され、かくして汝は《石》の《地》を充分に統治しうるのである。物質のカ焼とは乾燥させ灰となすことに他ならない。それゆえ恐れることなく充分に混合してある物質を燃焼し灰に帰せしめよ。こうした灰を避けることなく、むしろ揮発して失った水分を与えよ、数日のうちに水がすべて飲み干され地へと回帰すれば完了である。湿質が乾化するときには世に存するすべての色彩が容器中にあらわれるであろう。ゆえに数日の間、前述のことが遂げられるまで穏やかな火に容器をあてよ。火によりてすべてが結合するに至り、彼から去ったものは再び彼へと回帰して、再び二度と彼から去ることはない。物質から分離されたのは黒さであり、それをこそ物質、そのきたるところに還元せしめ、一体のものとなせ。




白き薔薇。
余は白化さすエリクサ、万物の不完全なるをいとも純なる銀にかえ、そは鉱物にも勝る。その一欠片は千もの《活ける水銀》をば比類なき純度の銀へと変える。