第2回 院長クレマーの告白

第1章 我らが術の生命を構成する生ける水の調合法
鮮やかで純粋なる紫紅の酒石を3オンスほど用意せよ。そこに5オンスの石油、2オンスの天然硫黄、2オンスの橙色の砒素、3オンスのラビュセヌム、2オンスの柳の木炭を加えよ。これらすべての構成要素を《海神の浴槽》、しっかりと固定された硝子壷のなかに混合し蒸留せよ。この容器は1キュビトに造り、注意深く密閉して、霊気あるいは煙霧が蒸発するときに一切漏れないようにする。その色合が青ざめてきたように見えたら炉から外して冷やす。この調合は4日の間に完了しなければならない。その臭気は致死的な毒素なので吸い込まぬよう注意せよ。この水は頑丈でしかもしっかりと固定された硝子壷に保存すべきで、後の章で与えられる指示に従って使われる。もう一方の水は汚れなき18歳の若者の尿から2回の蒸溜をされるべきである。若者が汚れていれば、水はまったく活力を欠くであろう。

・・・1液量オンスはアメリカで29.6cc、イギリスで28.4cc 30ccほど。キュビトという単位はよく聖書にも出てくる。確か、手をパッと開いて、中指から肘までの長さだったような。平均的に50cmくらいじゃないだろうか。原文には余白に以下の記述がある。

[ラビュセヌムとは、さる赤い物質かつ地(つち)であり、水から由来するものである。それは鉱物物質から流出し、七の月に二六日間のあいだ太陽熱にさらされた硝子容器のなかで熟成される。]

・・・一体なにをやってるのか、まったくわからん。「尿」のシンボリズムにはいろいろあって、まあ象徴的な意図はわからないではないけれども・・・。