人文書院

久しぶりに人文書院のサイトを除いてみたら、長期品切本復刊がアツいことになっている。

・レヴィ 高等魔術の教理と祭儀 教理篇 祭儀篇
 単体で魔術書として信奉するひとはソウいないとは思いますが、19世紀の主にフランス文学(ボードレールとかマラルメとか)の「外伝」的に読むと時代の空気がビシバシ伝わってくるでしょう。古代の源泉に触れてインスパイアされた詩想として、という意味では、文学的にも隠秘学的にも意義のある書物です。なによりも「生田耕作」の訳業のひとつとして意義深い存在、としてみるのが正解かも。
・ルルカー 聖書象徴事典
聖書に登場する象徴的な事物を、諸神混淆のシンクレティックな見地から解説している、かなり頼もしい「事典」なので読み物として有意義かつ楽しい。他の多くの人文書院の判型よりひとまわり小さいハンディなサイズなので、気儘に手にとって持ち運びもラク。1冊持っていると退屈するということがない(かも。
ブルトン シュルレアリスムと絵画
33名のシュルレアリスティックな作家たちについてのアンドレ・ブルトンの評論、エッセイ集。『魔術的芸術』とともに、文学・芸術と自由=意志=魔術を俯瞰する重要な書籍。
ユング 結合の神秘1
『心理学と錬金術』を超えて、さらに奥義の深みへ分け入るユング錬金術研究。アプローチは心理学からですが、ほとんど純然たるAlchemy研究書といていいでしょう。

しかしまあ、エラい高価な本ですな。90年代に刊行された版だと、レヴィが3600円、聖書事典は4800円、ブルトンは9500円です。ようやくの復刊とはいえ、それがさらに値上がりしているとは。まあ、こういうたぐいの本を手元に置いておきたいひとなら、それが1万円くらいでも厭わないんでしょうけれども。これらはおそらく、たとえば「平凡社ライブラリー」とか「ちくま学術」には将来入ったりしないと思います……。古書で求める手もありますが、なかなか難しいでしょうね。なんというか、情報のキリクチが独特すぎる。よくも復刊したもんだ! というところです。

そうそう、最近こういうのも面白かったです(汗