自然の王冠

第4回 蒸留

物質を明らかにした後、哲学者の最初の趣意は水を与えるべきことであるが、これについては多くの名前で註記が繰り返されてきた。なかでも「鋭い酢」というのが頻繁に語られた名のひとつである。二つ目は「溶解せる水銀」であり、第三は「沼沢の水」である。…

第3回 術の根本たる化学物質としての土星

土星は卓異の星であり、本質、位階、品格に於いてあらゆる同朋を凌いでいる。彼は自然の長男、知る者わずかな金属種の根と位置づけられる。 ゆえに『角笛の響き』にはこうある。染色の霊気は哲学者の水銀であり、その赤や白は鉱洞や地の臓腑のなかで硫黄とた…

第2回 太初の混沌について

混沌は、未だ創造されざるところより初めて創造されし、最初の始まりである。全能の神が初めて創造したこれは、神の創世の術以前のものであり、それはかたちもない無秩序であった。けれどもその本質は、もっとも正統な賢者らによって後に明らかにされた。そ…

第1回 序文

1年半くらいブログを放置してしまいましたが、最近進めている作者不詳の錬金術文書『自然の王冠』をupします。『薔薇園』も頓挫しているのでどこまで続くか分かりませんが…。『自然の王冠』は、バルヒューゼン Barchusen の編んだ論集『化学の元素 Elementa…