諸星大二郎『海神記』

諸星大二郎『海神記(全3巻)』
シオリとシミコが諸星漫画にしては軽かったので、これはずっしり重厚感がよかった。
海人(あま)としての古代日本人はしっかり語られることが少ないし資料もすくない。作者自身もあとがきでそういうことをたくさん書いている。こういう、他にあまりないテーマだが気になる史実を、バリバリ漫画で語っちゃうひととして諸星大二郎はスゴイんだな。
もうほんと、南海の海人たちの民族大移動が、具体的なイメージになってるなんてのは、書物も漫画も他に知らない。巫女と神の交流なんかも、他の作品と違って超常現象になってない(諸星的怪獣とかはでてこない)から、ストイックにリアルを目指した作品だと思う。
きっと何度も読み返すであろう作品。