ハウルの動くやつ

TV放映があって、2度目。でもちょっと、私にはやっぱりだめだ、これは。恋愛観が年寄りじみていて朗らかさがない。老練、とでもいおうか、歳経たオトコギ満載なんだよな。でももうここには、『王と鳥』で、手をつないで無限にも思える階段を逃げまくった羊飼いと煙突掃除のような若さが、ない。すなわち、ルパンとクラリス(あれもオジサンと娘だが)からこっち、男女のありかたに発展がないように思うわけで。宮崎ヒロインの声優に倍賞さんを起用しておいて「あのひとは弱虫がいいの」なんていわせるアタリ、まったくもう、『紅の豚』かっつーの、と突っ込みを禁じ得ない。むずむずする。

声優に芸能人を起用するという、最近のアニメの悪い風潮を作ってしまったきらいもあるような、ないような。そういう意味じゃ、大友『スチーム』もどうしようもない位置にある。小西真奈美のうるさいことうるさいこと。へえ、そういう声もでるのか、という楽しみもあるけれども。そうなると宮部『ブレイヴ』の松島さんはやっぱすげえのかなあ、と感じ入るところも、ある。

かつてDVDで観た『アレ』だが、宮崎アニメの例に漏れてあんまり何度も観たくも感じなかったので、仕事をしながらTVをつけっぱなしにして音だけ流しておったが、それだけでも、倍賞さんの、おばあちゃんとむすめの声のつかいわけに驚愕する。物語の途中で、なんとなく娘に戻ろうとしてるのが気に障るけれども。

美輪明宏はいうに及ばず、ただキムラタクヤだけがまんまキムラタクヤだった。放映が終わって、CMで今ながれている缶コーヒーの宣伝、バスで子供らに睨まれて木村拓哉が「なんだよ!」とスゴむ声が聞こえて来て「あ、ハウルがキレた」と思い込んだのは自分だけではないはず。ふだんど〜りなんだな。

もともと、ハリー・ポッターからこっち魔法ものファンタジーの流れに乗ろうという時期に作られた『アレ』だが、どうも整合性のない筋になってしまった。ナウシカもののけ千と千尋から、自然と人間の大きなテーマを追いかけて来ておいて、そんなことしてる場合なのか?という疑問が拭えない位置づけになってしまった。

指輪まで映像化されて、ディズニーがナルニアをやった。で、2世のデビューで『ゲド戦記』をもってくる。ナウシカ原作コミックが最強!と思い込んでる自分としては、最近のジブリの流れには、なんだかがっくりする。それでも『ゲド戦記』やりますか・・・ん〜なんかもう『シュナの旅』があればOKじゃないんですか?そうか、息子に『シュナの旅』からの修行をさせるわけか・・・。