GoogleVideoにハマる

すごいぞGoogleVideo! ふるくて版権の切れたと思しい、貴重な映像群がたくさん観られる。いままでなかなか観られなかった&手に入らなかった映像/映画が保存もできるから、これからは酔いたい映像に煩悶せずいつでも浸れる・・・それはそれで、ヤバいことかもしれないけれど。以下は最近みたお勧め傑作、歴史的アニメーション。

マックス・フライシャー「BettyBoop」シリーズ『SnowWhite』1933,7分

「ベティさん」としておなじみのキャラクター。最近はアメリカのアニメーションというとディズニー一色のような風情だが初期のアニメ揺籃期には様々な挑戦者が存在していたわけで、マックス・フライシャーは戦前の成功者といえるかもしれない。たえまなく流れるJazzyでオシャレな音楽に乗せて、よく動くキャラクターたちが踊りあばれ回る様子は、そこぬけに明るいしたたかな時代のアメリカならではのものではなかろうか。ショート・フィルムはどれもこれも楽しいが、なかでも白雪姫のパロディ『SnowWhite』が一番すばらしい。終盤の洞窟の中でキャブ・キャロウェイのダンスを真似るピエロの動きがなんとも笑える。

■イジィ・トルンカ『手』1965,18分 『電子頭脳おばあさん』1962,30分

チェコの人形作家によるアニメ―ション。チェコというとプラハを思い出して神秘主義なんかに造詣の深いひとはルドルフ2世のオヒザもとであることとか、ゴーレム伝説なんかを思い出すかもしれない。現代のプラハでも人形劇は盛んだが、もともとアニメーションという言葉自体、アニミズム=命を吹き込むという魔術的意味があるわけで、トルンカという東欧の巨匠がうまれてしかるべき風土であったのかもしれない。『手』にはオーソン・ウェルズ『審判』にみるような実存のテーマがみられ、旧東欧世界の厳しい政治的統制に対する芸術家の反抗心が痛々しく伝わってくる。しかしこのような政治的な意味や批判精神を超えて、画像の色彩感覚や、人形の所作や表情などは、ひじょうに心地良いものにあふれている。