ルネ・ラルー『ファンタスティック・プラネット』1973 フランス/チェコ 73分


手元にある短編集DVDがなんとも気に入っていて、不思議な味わいのある切紙アニメの手法を用いて巨大カタツムリに蹂躙される街を描いた『かたつむり』とか、マルグリット・ユルスナールの『東方綺譚』に入っている「ワン・フォは如何にして助けられたか」をアニメ化したものの2本が入っている。いずれもまた何ともいえないフランスのエスプリと幻想趣味のみなぎる映像なのだが、なんと同作家による長編アニメ『ファンタスティック・プラネット』がGoogleVideo上で見られてしまって驚き。どこが配信しているものか73年のものだから版権上の問題はあるんじゃないか・・・まあそういうメクジラは寝かせておいて、終始なんとも情緒を不穏に掻きむしる映像と音楽の連続、初めの10分でもう感覚を全開にしないといかん、ある意味コレを70分きもちよく眺めていられるってのはモハヤ普通の感覚の持ち主ではないだろうな。でも、どっかで見たことのあるグロテスク趣味・・・と思えば、ちょっと諸星大二郎が描くSF背景に似ているかもしれない。まあ各方面に多大な影響を与えてる作品なんだろう。巨大な異星人の支配する星で、矮小な人類がどんなに絶望的状況の中でも戦闘的意欲を失わないところが原題『野蛮な惑星』なのかな、そういう反抗精神の強烈さはじつに嬉しくなっちゃうところ。