ドナム・デイ 第3章

第三章 いかにして肉体が水へと溶解しそれが新しき肉体となるか。
われらの石は罪を負って静謐に胎動する物質であるがゆえ、異物を受け容れない。これはただ従順かつ妖艶なる妹とのみ結合し、其等の間に術は始まる。識るべし、しろき女があかき男と結ばるれば程なくして其等は抱擁しあい互いに繋がれ、みずから溶解し、みずから造り出し、ふたつはひとつをつくりだす。其処には三つの完全なる色彩が存し、其処からあらゆる他が起源をとる。まず黒つぎに白そして赤。他にも多くの色彩が存するが、殆どは白化の前に消え去ってしまうから留意すべきほどではない。かくしてわれらの術に不可欠なふたつの肉体の混合体は造成され、われらの石の中に二者による唯一の物体が現出すれば、それはいまや是が非でも自身の強烈な意志により染色素(ティンクトゥラ)にならんとする。故にこれら二体を結合させるは欠くべからざることであって、二者が結合して石の造成に取り込まれれば、石は風の胎(はら)に宿る、それこそが哲学者たちに伝わったことである。風は彼者を胎内に宿す。風が《気》であることは明らかで《気》は生命、生命は魂であり、それは油であり水ともいうことができる。妾は、遍く世界に最も高貴なる者なりて、ひとりの父祖のもと四の面貌を持ち、ひとつは山脈に、他は《気》中に、更に《石》のなかに、更に洞窟あるいはうつろな場所に存する。




石は四大元素の混成によりて造成さる。

われらが《活ける水銀》に完全に溶解した物質が此処に現出し、それは水を、眼の涙のごとき白色へと永久に凝固させる。