ドナム・ディ第6章

つづき・・・。
諦めちゃいけないのは判るが・・・道は遠そうだ。

第六章 如何にしてこの黒き土塊の、まず水の上に現れそして漸次、深みへと滲むか。物質が濃厚な蝋状へと固まり、泥状に沈殿してゆく様が観察されるにつけ、水のうえにあった濃度は少しずつその粘度を失うが、それはあたかも地が水に溺れるのをみるようである。そして容器の底に沈み込み、その黄ばんだ黒色も汚らわしく、それをこそ完全なる腐敗と呼ぶのである。哲学者らの常套に倣い、炉に火を点し物質の全体を水へと溶解させよ、そして全体が黒き土塊に変わるまで緩やかな火で統御せよ。この過程は二一日間で成し遂げられる。識るべし、こうした奥義は完全なる神感いがいのなにものでもない。術のすべての秘奥は唯一絶対であり、われらはそれを、哲学者らの言説によって証明する。われわれは、偉大なる作業に従事しつつ見そして触れ、この唯一絶対を白へ赤へと完全化してゆくことを知り、腐敗が物質の真の変成と、完全な組成をなしとげゆくところに、破壊が黒をもたらすことの他、ついになにものをも見出さなかった。それ故、汝みずからもまた作業にいそしみ、水のうえの黒き色彩より染色素が抽出されるまで、全身全霊をかけて煎出をつづけるべし。そして汝、前述の水のなかに黒色の現るを見しときには、物質の隅々までもが溶解を喫しているを知るべきである。また其処には緩やかな火をあて続けるのがふさわしく、斯くすることでそれは黒い雲を孕み、其処より腐敗が始まる。



《カプト・コルウィ》《鴉の頭》は黒く不潔なる地であり、其処にしょうじた蠕虫は互いに喰い合い、ある腐敗は他の生成となる。

たとえば『立ち昇る暁光(AuroraConsurgens)』の6章や7章にあるように、この「地が水に溺れる」というプロセスは「大洪水」になぞらえられるものであろう。ノアが箱船で乗り切った洪水では「40日40夜」の雨が続いたというが、それを除けば「7」という数字に縁が深い。3*7=「21」の明確な答えはここにはないけれども、なんらかの関係はあるかも知れない・・・「3」という数字は土星を表すものでもあるし、「21」を還元しても「3」になるのはちょっと気になる。まあ、基本3週間くらいは、なにごとも悩めってことかいなあ。