第5回

ここから突然、アラビアの師匠のプラクティカルな説明が引用されます。

ゲベル 真実の探求より
 われわれは、秘められた自然力とその構成素をあつかうこの書物のなかで、完全に確固たる実体を探求しこれにいたる経験から熟考を重ねてきた。われらの到達したものは、我々の医薬をつくるものにほかならず、物質変成に臨んでは以下のような特質をひめている。
 第一に、それは身の内にいとも精妙な《地》をもち、火に強く、その強力な湿性でなにものをも固着させようとする。
 第二に、それは《風》の湿気と《火》の湿気を統合した状態で秘めているので、片方が揮発性であればもう一方も同様である。この湿性は他のあらゆる湿気にまさるため、そこに永久にわかたれることのない《地》すなわち蒸散しない結合が不足している限りは、永遠に火の中心にやすろうて充分な遺灰の濃度に到達する。
 第三に、自然の湿性がもつ傾向は以下のようなものである。じしんの均質性の恩恵をうけて構成要素のあらゆる差異を内包し、それらすべてを転換することで統合された《地》をもつが、それは、すべての均質性のさなかに不可分にむすぶ紐帯が徳たかくまざりあうからである。また、調合の最終段階のあとには能く溶融する。
 第四に、この均質性はかくも精髄の純粋のものであり、あらゆる可燃物や燃え尽きた物質から人為的に浄化されており、これに結合されたあらゆるものは燃やされることなく、燃焼から護られる。
 第五に、それは澄みきって輝く染色素をうちに秘めており、白であり赤であり、汚れ無き不燃性の、安定した確固たるものであり、火によっても変化させられず、硫黄などのつよい浸食性によって腐食させられることもない。
 第六に、最終的な到達物と完全に融合した構成要素は、このように精妙で希薄な物質であるので、最終的な局面としての煎出のあとでは水のようにいとも希薄に融解するものとなり、最終的な物質の置換にむかって深い浸透をする。火の焼き付きに対抗する分離しがたき堅固さをもって、最盛期には霊的に自身の性質へと肉体を収縮させながらも、仕上げにおけるいかなる融合でも溶解でも、類としての近親性ゆえに蒸気と自然に固く結合するのである。

この感じがまだしばらく続きます。……