納涼、妖怪&幽霊リンク

『山海経』の妖怪画をコラージュの材にする逆柱いみりのような漫画家が、どうして錬金術寓意から題材を得ないんだろうという疑念がフとよぎるが、そんな繋がりは見えずとも『象魚』『MaMa-FuFu』『ケキャール社顛末記』から、さいきんでは『赤タイツ男』やら『はたらくカッパ』に至るまで、その作品の全ては錬金術的だ。どこかでみたような永遠の夢の論理が渦巻いている画風はときに「漫画という名の麻薬」なんて異名を得たりもするけれども、果てしないエロ・グロ・ナンセンスの彼岸に懐かしさが垣間見えるひとにとっては重要な作家たりえると思う。『ネコカッパ』は旧作の復習なので、全部読んでいるひとには必要ない。でも旧作をしらないひとにはイイと思う。

こういう作家は寡作なので、同じような効果をもつ装置を欲しがるのもまたナンカの禁断症状に似ていなくはないかもしれない。そういう文脈で、勧められるままに鳥山石燕『図画百鬼夜行全画集』を購入したのはハヤひとつきもまえになるだろうか(掲載した画像の妖怪「きんにくまん」は石燕ではない。どこかからか頂いて爆笑したもの)、コウ暑い日は怪談に限る、台所のちべたい床ででもコウイウものを開いてアイスでもかじるのがちょっとした快楽になるかも知れない。あれだ、月岡芳年の残虐浮世絵なんかもイイ。

そういえばこのくらいの時期になると、各地で掛け軸だの浮世絵だのの、幽霊画ジャンルの展示が恒例的に開かれたりする。あそこは今年はいつまでなのかな、という検索をかけてみる。あ〜けっこうタケナワなんだな。

■谷中にある山岡鉄舟ゆかりのお寺「全生庵」所蔵の幽霊掛軸は本気で涼を得られる(8/1〜/31一般公開「円朝コレクション幽霊画展」午前10時〜午後5時:拝観料:500円)・・・このお寺のサイト「全生庵TV」でもコレクションを公開しているが、このお寺の風情がいいんで是非お出かけされることをお勧めします。敏感な人はしゃれにならない霊感キックをもらっちゃうかもしれないです。たいして恐がりでもないアタシでもかなり恐ろしいですこのコレクションばっかりは。

■上記「全生庵」ちかくにある雑貨屋さんイリアスでは「日本物怪観光」主宰で第5回お化け物産展(2007/8/4(土)〜8/24(金))をやっている様子。

■表参道の太田記念美術館では「AYAKASHI 江戸の怪し−浮世絵の妖怪・幽霊・妖術使たち−」をやっている。これもすげえな。