フラスコの密室にホムンクルスの愛が結実してゆくDonumDei。やけにプラクティカルな仮面を被っている秘密めいた記述の「院長クレマーの告白」、それから現在進行中の「叙階定式書」の序文&冒頭ページ作りました。ご覧の通り、本文は未だです。
こちらは半年も放置してしまいました。 とりあえずノートン『叙階定式書』は完訳しまして、現在全体的な調整をしております。公開までもう少々おまちくださいませ。ささっとUPできればよいのですが、PC作業環境の変化に伴ってまたサイト構成に手を入れざるを…
また匂いの感覚もまた、支配的な元素を認識するにあたっての指標を汝に与えるであろう。匂いは色が与える指標とともに、元素の結合における「第一動因」の探求を示唆する。白と黒のふたつが色の極致であるように、悪臭と香気は匂いの極限である。だがしかし…
薬草の根は外側に冷たく内側に暖かであると医師らは言うが、この例証は香しい菫草(ヴァイオレット)を観察すれば明らかである。薔薇が内部に「冷」、外部に「赤」であるというのは一般的な自然学にもいわれる通りである。アナクサゴラスはその『自然変成』…
さて、その性質について漸く汝に語る段になった。我らの術の過程に於いて現れる、さまざまな色彩の出で立ち現れる原因を汝に説こう。およそあらゆる物体の白さは透明度の結実である。黒さは、物体の密度が構成素を厚くして透明度を遮蔽する際にあらわれる。…
元素の結合、あるいはその同化吸収については既に述べた。ここからは、我らが石の栄養摂取について説明を加えることにしよう。あらゆる段階に於いてもよく混合され、そして「乾」の働きで引き締まった均質の気質(ユーモア)というものが存し、このありうべ…
さて、学識深くも四つの元素が結合し、事物の互いがそれ自身の適正なありようで整ったならば、我々は完全化に至るまでの煮沸の様々な段階のなかに、次々に連続して変化する色彩を目前にすることであろう。これは物質が自然の暖気にあおられて滾り沸くからで…
トップページのリンク先を少々増やしました。 まあ、その、ナンですよ。洋書検索とかしてると、ほんと良くいろんな書店がweb上に連絡網を張り巡らせているなあと。こういう点では日本の書店はまだまだというか、とくに古書だと、価格比較もふくめて、欲しい…
さて、ここからは元素の結合についての吟味に移るが、この問題については以下の規範を策定することができる。まず(1)文法学的な結合をするにあたり、元素それ自体の有するしかるべき規則に則らねばならない。こうした規範というものは、学べる者の作業を…
『哲学者の薔薇園』と『新しい高価な真珠』それから、かつて当サイトで掲載していた色々な「駄文」の類を再UPしました。というか、切れていた(切っていた?)リンクを戻しただけという感じ。 『哲学者の薔薇園』は連作図版だけで、画像ファイルはサイトのデ…
いろんな本屋さん、Amazonへの個々のリンクを張りました。Amazonへのリンクは正直なところお小遣いになれば嬉しいですが、それよりも在庫や、古書相場の確認とか書評が一応、すぐに確認できるところが大事だと思っています。それにしても朝日出版社の『ヘル…
ときに人間のもつ素質の力が医者の術なしに病を克服させることもあるが、疾患の進行を遅らせたり、医者の対処なしにはもはやどうにもならなかったりといった多くの場合に、医者の処方は賞賛されるものである。しかし、ことは我らの鉱物の医薬に関しては異な…
終了している翻訳をふたつUPしました。 >>『いとも貴き神よりの賜物』The 'Donum Dei >>『院長クレマーの告白』The Testament of Cremer 2002〜2003年頃のサイトトップ。錬金術はサブコンテンツでした。[Alchemy]を押すと、 この頃、地・水・風・火の4項目…
しばし放置状態だったサイトをいじっています。 かなりシンプルになった感じ……。 というか、こちらのブログで書きためたものを置く倉庫になりそう。 Macrocosm:錬金術とヘルメス哲学の総合研究まだまだ中身までは手が回ってませんが、普段使う書店のリストと…
この原理の事例は、ただ緑の樹木を火にくべるだけで得られる。乾いた重厚の物質に「冷」が影響すれば黒が現れる。重厚さは、軽やかさの不明瞭および欠如の原因であり、色の非存在は黒だからである。引き締まって濃密な物質は「冷」の影響下に生命の破壊に瀕…
マーヴィン・ミンスキー『心の社会』:人工知能研究の第一人者による有名な良書なので詳細な内容紹介は省くけれども、「心」という無定型のとらえどころのない不可思議なものを、あるていど厳密に定義、解明できるかもしれない視点を提起している、けっこう…
一般的な情報と問題点あるいは「現象的意識」(Wikipedia) 哲学的な思考実験の材料としても面白いとは思うけど、ある種の疑似科学につながる傾向があるのも何となく解る気もする。純粋に科学できるかどうかについて、まだまだ問題があるようですね。個人的に…
さて、斯術の探求に余念なき汝に語ろう。変成に向けて物質が調合されたならば、それを四元素に分離し、分割せねばならない。もしこれができないのであれば、汝はこの点について比類のない論考をものしているホルトゥラヌスの著述にあたるがよい。この書のな…
両替商であったブリセウス*1は多くの人々に損失をもたらしたが、他方ではその取引を悦び、これを満足の源とする者達もいた。当時は、誰もがこうした出来事を耳にして不思議さに驚きを禁じ得なかったものである。そうした時代からさして時は隔たっておらず、…
カゼをひいて数日ねこんでしまいました。 大きなケースに入った天秤を前にして、月と太陽の象徴をもてあそびつつ、蒸留器の前であくせくと働く召使いに指示をとばす術師。そういえば、以前書いたエントリー、「マイヤー『黄金の鼎』のイラスト」でも大きな天…
術に必要となる種々の鉱物については、アルベルトゥスが完全な吟味を遺しているところであるので私が繰り返す必要は無かろう。ここではむしろ鉱物の特性について記したいところだが、まずは我らの術の進捗において、不毛なる結果をまねくことを明らかにしよ…
多くの場合、愚かな学徒はこの点に於いて混乱をきたし、アナクサゴラスの言辞の真実であったことを証明することになる。曰く、何人もまた耐え難き経験から思慮分別を身に付けねばならぬ。昨今、この不潔な作業が潔癖な人士の手を汚すことのないように、純粋…
充分な食餌と飲料が与えられたときには、眠りを欲する物質を看護する必要がある。我らの仕事は細心の注意のもとに不寝番を必要とし、それは栄養価の高い滋養によって育まれねばならない。「故に、いかなる貧しき者にもこの作業を慎ませよ。斯術は世の富める…
第4章の前には以下のイメージが置かれています。 かなり見にくいですが錬金術の達人たちが、仕事場へと指示を垂れている様子。左からヘルメス(言うまでもなくトリツメギストゥス)、アル・ラージィー(ラーゼス)、アルノー・ド・ヴィラノヴァ(本文では英…
はい、ひとつき経ってしまいましたが生きております。ハイ。 ということで第4章スタート。 偉大なる作業の詳細を説くと私は約した。その責務から逃れようとは思っていない。汝に真実を伝道せんとあらゆる尽力を向け、あたう限り完全に奥義を導こう。誓約の損…
他人から夢の話を聞かされるほど退屈なものはないし夢のことを語って納得できたためしもないので、こうしたことは自ら禁じているけれども、今どうもその禁を犯さないと話が進まないようだ。よく間取りの夢を見る。マドリというよりもある建物空間が自分にと…
第3章はこれにて終了、短いのです。 「では教えてください、まことの原料は太陽(金)と水銀、あるいは太陽と月(銀)なのでしょうか。あるいはこれら三つなのでしょうか。あるいはそれは金そのもの、水銀そのものなのでしょうか。さもなくばそれら二つと硫…
さて第3章のスタートです。「T」は老錬金術師タンシルスのTです。 タンシルスは容易ならざる探求に六〇年もの刻を費やした。西部のブライアンやホールトンなどもまた、昼夜を問わず術の実践に従事した者たちであるが、彼らはこの高貴なる学理の精髄を見出…
先日の記事「第10回 錬金術の叙階定式書 第2章(4)」でうっかり「術者のメンタリティの問題を悪魔に帰する心理学は……」などという書き方をしてしまったが、ちょっと性急だったかもしれない。そもそも悪魔ってのは何だろうかと。ふつうに辞書で【悪魔】と…
第2章は今回で最終回です。 汝が身を守らねばならぬ第三の敵は欺瞞である。これは前述したふたつよりも恐らくはずっと危険なものである。汝が炉を燃焼させるために雇わねばならぬ傭僕は、最も信用ならない人物である場合がある。不注意な者もいれば、炎に傾…